R の switch文は、「複数の条件」とそれに「対応した処理」をまとめて記述できるので、if文よりも簡潔にかけます。R の switchの条件は、文字列で書かれたラベルで判断します。R の switch文の「書き方」と使い方を、サンプルを交えてまとめます。

R – switch文による条件判断
R – switch文の書き方
R の switch文では、式に対する複数の条件を判断することができます。条件を増やしたい時は「条件」を追加します。条件には、文字列(ラベル)を使います。「その他の条件」は、「ラベルなし」で指定することができます。
case文の一般的な形式
value <- switch(式 "ラベル1" = 対応した処理, "ラベル2" = 対応した処理, "ラベル3" = 対応した処理, ..., 条件に合致しない場合の処理 )
switch文の判断
R の switch文では、対応する処理を準備している複数の条件に対して、「どの条件に一致したか?」を『式とラベルの文字列比較』で判断します。
プログラム
test_switch.r
#! /usr/bin/Rscript argv=commandArgs(T) # 引数の処理 items <- switch(argv[1], # 指定された条件 "1" = c("dataA", "dataB"), # 「1」が指定されたとき "2" = c("dataA", "dataC"), # 「2」が指定されたとき "3" = c("dataB", "dataC"), # 「3」が指定されたとき "AB" = c("AAA", "BBB"), # 「AB」が指定されたとき c("x", "y")) # 「それ以外」を指定 # 引数をファイル名で利用 png(paste("fig", argv[1], ".png", sep="")) # 引数で決まったデータ名c("データ名", "データ名")を軸に設定 plot(rnorm(100), rnorm(100), xlab=items[1], ylab=items[2]) dev.off()
プログラム実行
test_switch
$ chmod +x test_switch.r $ ./test_swtich.r 1 # 引数に「1」を指定 fig1.png を生成 $ ./test_swtich.r AB # 引数に「AB」を指定 figAB.png を生成 $ ./test_swtich.r ABC # 引数に「ABC」を指定(条件外) figABC.png を生成
fig1

figAB

figABC

プログラムについて
test_switch.rでは、R の switchの条件を数種類ためしてみました。コマンドライン引数で与えられた文字と、条件のラベルを判断して分岐処理を行います。
文字が「1」〜「3」または「AB」の文字列に合致したとき、対応するxy軸のラベルを使ってpng画像を出力します。条件に該当しないデフォルトでは、x軸に「x」・y軸に「y」と表示するようにしました。ラベルだけの切り替えを行いましたが、他にも色々と応用できる処理です。
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