シェルスクリプトに引数を与える場合、引数が少ない場合はエラーにするなどの対策が必要です。一方、引数を10個以上うけとる場合、受け取り側で引数をずらしながら1つずつ取得する必要があります。
シェルスクリプトの引数をチェックする方法
シェルスクリプトの引数の数をチェックする
引数の数は、$#で取得できます。
想定する数が与えられたかどうかを、if文などでチェックすることができます。
例 arg_count.sh
#! /bin/bash
# 引数の数を表示
echo "args = "$#
# 引数の数をチェック(2個セットされたか?)
if [ $# != 2 ]; then
echo "args count error!"
# エラー終了
exit 1
fi
# エラーでないときだけ実行される
echo "args count ok!"
実行例
# 正常パターン(引数2個) $ ./arg_count.sh a b args = 2 args count ok! # 異常パターン(引数3個) $ ./arg_count.sh a b c args = 3 args count error!
シェルスクリプトの引数が正しくセットされたかチェックする
引数は、セットした順に「$1, $2, $3…$9」としてシェルスクリプト内でアクセスできます。
セットされなかったパラメータがある場合は、${var:?}を使ってエラーを検出することができます。
例 arg_number.sh
#! /bin/bash
# シェルスクリプト実行時の引数を1から3まで順番に変数セット
# 未設定の場合はエラー
PARAM1=${1:?}
PARAM2=${2:?}
PARAM3=${3:?}
# 引数として受け取った内容を1つずつ表示
echo "PARAM1="$PARAM1
echo "PARAM2="$PARAM2
echo "PARAM3="$PARAM3
実行例
# シェルスクリプト 実行時に4つ引数を与えてみる $ ./arg_number.sh p1 p2 p3 p4 # 結果:引数として取得した3つ分を表示 PARAM1=p1 PARAM2=p2 PARAM3=p3
# シェルスクリプト 実行時に2つ引数を与えてみる(1つ足りない) $ ./arg_number.sh p1 p2 # 結果:引数が正しくセットされていない場合はエラー ./arg_number.sh: パラメータが null または設定されていません
シェルスクリプトの引数が多い場合
引数が9個を超えると、定義済み変数($1〜$9)では足りなくなり、全部に正しくアクセスすることができません。
例 arg_num9.sh
#! /bin/bash
# $0(スクリプト名), $1 〜 $11 まで引数の内容を表示
for x in `seq 0 11`
do
eval echo '\$'$x \"\$$x\"
done
実行例
# 11個の引数を与えて実行
$ ./arg_num9.sh a b c d e f g h i j k
# 結果:引数に正しくアクセスできるのは$9まで。
$0 ./arg_num9.sh
$1 a
$2 b
$3 c
$4 d
$5 e
$6 f
$7 g
$8 h
$9 i
$10 a0 # 正しくない
$11 a1 # 正しくない
shiftを使うと、引数をずらしながらアクセスすることができます。
例 arg_num9_shift.sh
#! /bin/bash
COUNT=$#
for x in `seq 0 11`
do
if [ $x -lt $COUNT ]; then
# 11個の引数を1つずつずらして$1でアクセス
eval echo '\$1' \"\$1\"
fi
# 引数の位置を1つずらす
shift
done
実行例
# 11個の引数を与えて実行 $ ./arg_num9_shift.sh a b c d e f g h i j k # 結果:# 11個の引数を1つずつずらして$1でアクセス $1 a $1 b $1 c $1 d $1 e $1 f $1 g $1 h $1 i $1 j $1 k
シェルスクリプト 引数をチェックする方法 – まとめ
- 「引数が正しくセットされていない場合は、エラーにする」などの処理に活用できます。
- シェルスクリプトの引数の数は
$#で取得することができます。 - 引数はセット順に、
$0(スクリプト名),$1(第1引数),$2(第2引数),$3…$9としてアクセスできます。 - 引数が9個を超える場合は、「shift」を使って引数をずらしてアクセスするなどの工夫が必要になります。


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